人類は古今東西、国境を超えて
誰もが心身に深い傷を負って生きている
戦争、紛争、闘争
不治の病、挫折、孤立感、不信感、破滅感……
彼らはみな救いを、癒しを、優しさを求めている
人類の多くは、神の中にそれを求め
祈りを通して癒されてゆく
自らの存在意義、価値を求めて
人々はいつも右往左往している
歴史のさまざまな次元で
自らの存在価値は問われてきた
自分は何のために生きているのか
苦のうずき、痛みから解放されるために
人は信仰の道に入る
見えない魂に思いを馳せることで
確かではない納得を強いられてきた
自らの生命がここに存在しているということは
両親の恩恵によるものである
その両親の生命は
それぞれの両親四人の生命によって成りたっている
また、その両親の生命はそれぞれ八人の両親の生命によって支えられている
そのまた両親の生命は……
そして今、ここに存在する自分の生命は
三十代さかのぼると
五億人の脈々たる生命の流れによって存在していることになる
自分の生命であって
決して自分の生命ではない
今の自分の存在は
数えきれない程多くの生命の存在によって
成りたち支えられ存在しているのである
だからこそ尊いのではないか
だからこそ偉大なのではないか
だからこそ恐れ多いことなのではないか
だからこそ自らの生命そのものを
尊敬し大切に扱わねばならないのではないか
連綿と続く生命の流れの中にあって
一時の苦が何だ、病が何だ、不幸がどうしたというのだ
簡単に弱音を吐くな、諦めるな、絶望するな
もっと己れ自身を知れ
生命の深さを知れ
自らを否定するな
人間は崩落と壊滅とを内に蔵する脆い存在ではない
人間は無限なる能力と無限なる叡智を内に秘める、輝かしい存在そのものである
人は常に
人生とはこうでなくても、ああであり得た
という想いに絶えず心乱されるが
そんなことはありえない
この世に偶然は決して無い、すべてが必然である
神の意志であり、自らの意志である
必然は自らの生命が、連綿と続く生命の流れの中に存在するが
偶然は、過去の積み重ねの中にはない
今、現在の瞬間に突然に迸り出るようなものである
そんなことはありえない
偶然は必然の否定である
そんなことは無意味である
だからこそ
人間は一人残らず自らの偉大なる生命を信じて生きることだ
失敗も病も苦も挫折も決して偶然ではない
魂のプロセスなのだ
自らの本質を知らしむるための神の恩寵である
自らの存在そのものに
希望を託すのである
人類一人一人がみな最後にゆきつくところは
我即神也、人類即神也である
神人とは、そのプロセス(通過儀礼)を
すでにすませた神の輝きを放出している人たちのことである