お盆のミコシ


 ●お盆は旧暦の七月十三日から十五日まででした。お盆前になると子供は、皆町内で一ケ所に集って、木の空箱に竹の棒で担ぐところをつけて、いわゆる手作りの御輿を作りました。そしてお盆の旧暦七月十三日の晩から町内の小学生の殆どが出て、主に初盆のお家を担いで廻ったように記憶しています。「ローソクー丁ヨイヨイヨイ」と言いながら、そのお家の庭を三回も四回も廻りますと、そこのお家の方がローソクと、あとは仏様に供えたお菓子やお団子をくれました。こうして次々とお家を廻って行くわけですが、それも自然縄張りのようなものがあって、浦町の子は大体浦町、仲町の子は仲町というような、でも軒数が少ないと自然よその町にも入り込んで行く。当然そこで衝突が生まれます。私共の経験では、その衝突は御輿に飾ってある飾りつけを叩き落したりはしましたが、いわゆる手を出して喧嘩をする、殴り合うということはあまりなかったように思います。ただそうした行事を通して、これだなと思うのは、子供なりに、上級生は下級生を可愛いがり、衝突の場ではかぱってくれました。下級生は上級生に対し一般的に尊敬の念をもち、これで自然のうちに長幼の序という気持ちが育まれたと思います。集団の中の秩序、習慣というものが遊びの中で身に
ついたようです。現在この辺が欠けているように感じております。

 ●勿論、私共も小学校時代はやはり勉強はさせられましたし、することはしましたが、今のように勉強、勉強と親は言いませんでした。学校から帰って一時間も机についておれぱ、あとは何をしようと、まあ家の手伝い、きめられたその日の手伝い(例えぱ風呂の水汲みと風呂焚きとか、家の掃除とか親がいいつける)をきちんとやれぱ、あとはどんなに遊ぼうと、夜何時迄出歩こうと、あまりいろいろ言われなかったということです。特にお盆の時期は夏休み中ですから割合自由に遊びまわりました。



考察&備考:う〜ん!この風習は知らなかったですねー。いい行事ですが、子どもの数が少ないいま、復活はもうほとんど悲観的ですね。