楽譜等

わたしは、まず篳篥を吹くにあたって、ハードルが2つありました。1つは、音がでないこと。これはいろいろと師匠から習って、葦舌を削るということで音出しはについてはほぼ解決しました。
もう1つは、特別な楽譜です。これには最初苦労しました。それで自分なりの楽譜を作りました。というのは、篳篥の按指がソプラノリコーダーのそれと、9割同じなので、それを利用しました。
ソプラノリコーダーの運指には以前から自信があったからです。これで今のところ運指については解決しています。
よろしければ、わたしなりの邪道の楽譜を覗いてみてください。

◆雅楽について◆

雅楽は、今から1200年くらい前に現在の中国、朝鮮などから伝わってきた音楽に

日本人特有の感性、美意識を付けたし、長い間に様々な有能な楽士達により完成した

世界に誇るべき音楽であり文化です。

雅楽を大きくわけると打楽器、弦楽器、管楽器によって演奏される「管弦」と

雅楽の曲に合わせて舞う「舞楽」とがあります。


調 子
雅楽には洋楽でいう長調・短調のような6種類の調子があり、 「壱越調」・「平調」・「双調」・「黄鐘調」・「盤渉調」・「太食調」に分かれています。

もともと、上の6調子に「沙陀調」・「壱越性調」・「性調」・「水調」・「乞食調」・「道調」を加えた12種類の調子があったようですが、長い年月に消滅した物や、6調子にいれたものなどあるようです。

ちなみに、壱越調に「沙陀調音取」と言う曲があります。壱越調の中に沙陀調が取り組まれた例といえるでしょう。


音 取
音取(ねとり)とは打楽器、弦楽器、管楽器による音合わせをの役割をもつ短い局で、 6調子に必ず1つあり、それぞれの主管が雅楽演奏の一番初めに演奏します。

「それぞれの主管」とは管楽器だけは人数がきまっていないので鳳笙・篳篥・龍笛の演奏者が各3人ならその中で一番演奏のうまい人のことです。

そういったことから、音取をまかせられるということは雅楽演奏者にとってはとても名誉なことなのです。

また、演奏会などでは、調を統一(壱越調ならはじめからおわりまで壱越調の曲を演奏する)して演奏することから、これから演奏する曲の雰囲気をだす役割もあるようです。

また、音取とは直接関係ありませんが、演奏を終了する際にも「止手」という短い曲を演奏します。これも6調子によって異なります。


管弦と舞楽
雅楽には管弦と舞楽があると先にいいましたが、 管弦は打楽器、弦楽器、管楽器により演奏するもので、 舞楽は管弦の曲の調子などをかえて舞をつけて演奏するものです。

管弦は特に分かれませんが、舞楽は次の三つに分かれます。

唐楽

高麗楽

神楽

唐楽は中国大陸からの伝来、高麗楽は朝鮮半島よりの伝来で、神楽はもともと日本にあった物のようです。

また、高麗楽・神楽には鳳笙ははいりません。使用する笛も異なります。

また、神楽をのぞく舞楽は2曲が対になっておりそれを左舞・右舞といいます。

例えば、蘭陵王と言う舞楽を舞えば、次に納曽利と言う舞楽を舞うといったように様々な組み合わせがあります。


拍 子
雅楽の拍子には様々なものがあります。

延拍子・早拍子・只拍子・夜多羅拍子などがありそこからさらに分かれます。

 

延拍子→延八拍子・延四拍子

早拍子→早八拍子・早六拍子・早四拍子

只拍子→延只八拍子・早只六拍子・早只四拍子

夜多羅拍子→夜多羅八拍子・夜多羅四拍子



竜笛 篳篥
按指法 按指法 按指法

鳳笙按指法 11k
鳳笙の按指には以下のものがあります。

乞(コツ)・一(イチ)・工(ク)・?(ボウ)・乙(オツ)・下(ゲ)・十(ジュウ)・十(双)・(ジュウ)・美(ビ)・行(ギョウ)・比(ヒ)

があります。

 
←鳳笙按指法

 

按指法とは笛を吹く際の指使いの事です。

按指には六(ロク)・丁(ゲ)・中(チュウ)・中折(チュウオル)・タ(シャク)・?(ジョウ)・五(ゴ)・テ(カン)・ン(ジ)・口(ク)

があり、中・中折・タ・?・五・テは同じ指使いで責(セメ)と和(フクラ)の2種類の音を出します。

そして、六と丁は責(セメ)と和(フクラ)によって按指が異なりますので、計12種類の按指があります。

しかし、ンと口は他の按指とくらべてあまり使用しません。

篳篥按指法 24k
篳篥の按指法には

丁(テイ)・?(ジョウ)・一(イツ)・四(シ)・六(リク)・?(ハン)・工(コウ)・五(ゴ)・舌(ゼツ)

があります。下の表では●をおさえ、○がおさえないという意味です。

 

       
楽 譜
楽 譜 楽 譜
太食調 抜頭(ばとう)楽譜の1部 10k


鳳笙の場合、楽譜には按指自体が晶歌となっており、

曲を覚えるにはまず晶歌から覚えます。

晶歌というのはその曲のメロディーラインを歌にしたものですが、

必ずしもその曲のメロディーの沿ってるかというとそうでもありません。

したがって、こればかりは先生に教わらなければ

数多くある雅曲を覚えることは困難でしょう。

しかも雅楽において晶歌の存在は非常に大切なものなのです。

←太食調 抜頭(ばとう)楽譜の1部

 

太食調抜頭(ばとう)笛譜16k


楽譜には晶歌(しょうか)と按指が並んで記載されており、曲を覚えるにはまず晶歌から覚えます。晶歌というのはその曲のメロディーラインを歌にしたものですが、必ずしもその曲のメロディーの沿ってるかというとそうでもありません。

したがって、こればかりは先生に教わらなければ数多くある雅曲を覚えることは困難でしょう。しかも雅楽において晶歌の存在は非常に大切なものなのです。

事実、私もはじめはCD等でしか曲を覚えることしかできず、一通り吹ける気がしてたのですが、後から晶歌を習いその大切さがわかった1人です。(笑

また、按指の方は按指法の方で説明した物がならんでおり、たまに按指以外のものがでてきます。例として、由(ユル)や動(ドウ)などがそうです。

由は按指の丁(ゲ)の音を左手人差し指を左右にずらしながら穴を塞ぎはねるような音を出す事で動は例えばテの音だったら少しずつ指をずらして五にいき、またテに戻るという意味があります。

太食調 抜頭(ばとう)笛譜 25k


楽譜には晶歌(しょうか)と按指が並んで記載されており、曲を覚えるにはまず晶歌から覚えます。

晶歌というのはその曲のメロディーラインを歌にしたものですが、必ずしもその曲のメロディーの沿ってるかというとそうでもありません。

したがって、こればかりは先生に教わらなければ数多くある雅曲を覚えることは困難でしょう。

しかも雅楽において晶歌の存在は非常に大切なものなのです。

 

太食調 抜頭(ばとう)笛譜の1部 

上の楽譜の最初のタハリが晶歌、四ノが按指

手書きの二七は琴譜(篳篥とは関係ありません)

引用サイト…「斗螢稲荷神社」


管絃

 「管絃」というのはその言葉が示すとおり、管楽器と絃楽器(+打楽器)による合奏です。オーケストラの日本語である管弦楽という言葉はこの雅楽の「管絃」を引用して作られており、今日使われる音楽用語は雅楽用語から派生したものが多くあります。
 「管絃」は雅楽の中でも外来音楽を起源とするものに含まれています。この外来音楽には以下のような種類があります。

 (1) 唐 楽(とうがく)…中国・ベトナム・インド・ペルシャなどの音楽を起源とするもの
 (2) 高麗楽(こまがく)…朝鮮・渤海(現中国の東北地方)の音楽を起源とするもの

この内、唐楽には合奏曲である「管絃」と舞を伴う伴奏曲である「舞楽」の両方がありますが、高麗楽には「管絃」はなく「舞楽」のみです。




雅楽の音律

 雅楽の音律も西洋音楽と同じく1オクターブ12音で構成されます。但し、12音は平均律によって算出されるものではなく、紀元前1000年頃にすでに中国にあったと言われる三分損益法と呼ばれるものです(ピタゴラス律)。また基準音も現在一般的に用いられているA(ラ)=440Hzではなく、A=430Hzとして調律されます。


雅楽の調子

 現在、雅楽では6種類の調子(Key)が残されています(昔はもっとあったようです)。
基準音 名     称
D(レ) 壱越調(いちこつちょう)
E(ミ) 平 調(ひょうぢょう)
G(ソ) 双 調(そうぢょう)
A(ラ) 黄鐘調(おうしきちょう)
B(シ) 盤渉調(ばんしきちょう)
E(ミ) 太食調(たいしきちょう)

 上記のように分けられますが、雅楽は西洋音楽のように調性の音楽ではなく、旋法の音楽であると言われています。そのため楽理的に明確に説明することが難しく、慣れないと各調の特徴がわかりません。


管絃の編成

 一般的な管絃の編成は笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)の管楽器が各3人、琵琶(びわ)・箏(こと)の絃楽器が各2人、鉦鼓(しょうこ)・鞨鼓(かっこ)・太鼓(たいこ)の打楽器が各1人の計16人編成が標準です。但し、これは決まり事ではなく演奏団体によって様々です。
 雅楽の管絃では西洋音楽のオーケストラのように指揮者がいません。その代わりに曲全体の流れやテンポを統率する役目を担うのが鞨鼓の奏者で、ほとんどの演奏団体では楽長など経験豊富なベテラン奏者が担当します。また管楽器と絃楽器にはそれぞれ主奏者が決められており、管楽器の主奏者を音頭(おんど)、絃楽器の主奏者を面琵琶(おもびわ)・面箏(おもごと)と呼びます。


楽曲の構成

 管絃の演奏では通常は1つの調子の曲のみを演奏します。1回のコンサートで2つ以上の調子を演奏することはほとんどありません。
 演奏会のプログラムでは、まず最初に音取(ねとり)と呼ばれる1分くらいの短いチューニングのための曲が演奏されます。これは各楽器の主奏者と鞨鼓のみで演奏され、チューニングを合わせる目的(特に絃楽器)と、観客に対してこれから演奏する調子の雰囲気を提示するという2つの目的で行われます。
 音取が終わると楽曲を演奏します(音取に対して当曲(とうきょく)と呼ばれます)。当曲は龍笛の音頭のソロから始まり、笙・篳篥・琵琶・箏の順で演奏に参加してゆきます。


引用サイト…「雅楽HP」